2010年01月28日(木) ボルボ240、スモールライト交換
前日の夕方、ボルボ240オンマニ号の左前方のスモールライト(車幅灯)が切れていることに気がついた。このライトは、BA15s口金の5wという、日本車関係ならば変り種に類する球で、オートバックスに行ってはみたが、案の定、どのメーカーのカタログにも載っていない。Trade-designなどのボルボパーツを扱うところにネットから注文しないと手に入らないことは分かっているし、すぐ届くが、面倒だ。また、それまでは整備不良ということになるのも気に入らない。まずはオート・ボルタに尋ねてみようと思った。
それで本日の午後、オート・ボルタに電話をすると、「ありますよ」とのことで、一安心する。アポイントを入れて、ショップに寄る。店は少しずつ引き合いが回復しているとのことで、今はスモールウィンドウ、ボーンホワイトの240の商談にかかっていると、社長は言っていた。それ以外にも、綺麗なミッドナイトブルーの240ワゴンや、すぐにも乗り出せそうな赤くお洒落な940ポラール(お得!)など、3桁ボルボをお探しの方は必見です。
さて、早速カバーを取って電球を外してみると、やはりフィラメントが切れている。次々に切れるのは嫌なので、この際両方とも、つまり生きている右側の方も新品にしてもらう。すると意外なことに、右側には10wの球が付いていたことがわかった。つまり、前のオーナーの誰かが、どこかの段階で交換しているのだ。じつはこのオンマニ号、右前方のフェンダーが心持ち歪んでいて、恐らくぶつけたのであろう形跡がある。あるいはその際に純正5w球が切れて、修理のときにとりあえず10w球に置き換えたのかもしれない。だからそれ以来、オンマニ号のスモールは、ずっとガチャ目になっていたわけだ。他方、指定の5wでは暗いので10wにしている、という記事は、ネットのどこかで見た記憶がある。「10wにしておきますか」と社長も言うので、そうする。しばらく部品庫をごそごそして、「ちょうど2個残ってました」とのことで、接点を磨いて、これで首尾よく左右とも交換完了。なお、生きている古い方は、予備用に取っておく。
●5w球の方のフィラメントが切れました。
その後はオフィスで、4月に来る車検までのメンテナンスの相談をする。まず最大の問題として、ブレーキパッドもローターもそろそろ限界に近いので、これは車検時には絶対に交換となるだろうし、しかも相当物入りになることが確実だ。後は、タイヤがやはりセーフティサインが見えるまであと1、2ミリだから、これも交換せねばならない。さらにはバッテリーが搭載以来4年経過しているので、いかにエクサイド製品とはいえども、一度私のミスで上げてもいるし、さすがに寿命に近いだろう。バッテリーは、たとえインジケーターが緑色でも、来るときは突然オシャカになるそうだ。
とはいえ、こんな出費が一時にどかっと来るのは真っ平御免なので、大体1箇月ごとに、さみだれ式に手を入れようと思う。それ以外には、エンジン、オイル、水回り、ブッシュ類は、今のところ問題ないようだ。プラグは2年前の車検の前にSplitfireのプラチナに付替えているので、まだ交換は必要ないだろう。本当は同じSplitfireでもノーマルの方が相性がよいような印象があるのだが、上記の事情もあり、余分の出費は避ける。
そんな話をつけて、オート・ボルタを辞す。オンマニ号の走りは、ますます快調。燃費もリッター8キロ、加速には粘りがあり、エンジン音も低く静かだ。
●これは、サンバイザーを留めるフックです。何箇月か前に、運転席側のものが折れて欠けてしまっていましたが、オート・ボルタ社長が取り寄せてくれていました。純正品としては、もう最後に近いストックだということです。
2010年01月29日(金) 補記
本日、運転席上サンバイザーのフック交換完了。とはいえ、このフックを留めている螺子は、なんと「ヘックスドライバー」でないと外れないタイプのやつで、仕方なく近所のホームセンター「コーナン」で購入。なんでこんな箇所にわざわざ「イジリ止め」用の螺子など付けねばならないのか、納得がいかない。プラス螺子で十分ではないか。
おまけに、BA15s口金の5w球は珍種だとか書いたが、コーナンにはスタンレー電気製の5w球も10w球も、ライセンスランプ用として、ともに置いてあった。灯台下暗しというやつだが、これもなんでオートバックスになくて、コーナンのカー用品コーナーには揃っているのか。ボルタまで足を伸ばした昨日の奮闘は何だったのか。半分くらいがっくり。
2010年02月16日(火) ボルボお問い合わせ
240GLさんという方から、メールフォームで以下のような問い合わせが来た。サイトのメールは公開していないので直接返信はせず、こちらにご返事を掲載する。ご質問の際は、ブログのコメント欄にお書きくださると幸いです。
初めまして。突然のメールで失礼します。私は90年式240GLに乗っている者です。いつも楽しみにそして参考に拝見しております。色々と勉強になります。早速ですが、もしご存知ならばひとつ教えて頂きたいのです。それはVOLVOの前席、後席のヘッドレストのはずし方です。引いたり、押して引っ張り上げたりしてもびくともしません。何かコツがあるのでしょうか?よろしくお願い致します。
私は、前席のヘッドレストを外すということを想定していないので、これについてはまったくわかりません。しかし、かつて末石sueishiさんのホームページの掲示板か、もしくはHideの書斎のコーナーかで、それに関連するトピックを見た記憶があります。この両者のページでお調べ願います。またこれらのコーナーには、本格的なアマチュアの方々が集っておられます。お問い合わせの際には、年式・型式・問題点・質問ポイント等、くれぐれも明確に、正確にお書きください。
後席については比較的簡単かつ野蛮です。すなわち、ヘッドレストの下部支柱2本の根元をつかんで、左右前後に、ぎしぎしとゆすぶりながら、しだいに上にあげていくのです。長年固定していると、きつく固着しているかもしれません。そのため最初は優しく細かい動きで緩めていくことが肝心です。ちょっと根気よくやっても、30秒とかからないはずです。単に2本の支柱の棒がシートに刺さっているだけです。取り付ける際も、それを逆にやるだけです。
以上、よろしくお願いします。
2010年05月01日(土) ボルボ240、車検通過
4月20日に車検整備のためガレージ入りしていたボルボ240オンマニ号が、本日5月1日に戻ってきた。オート・ボルタ社長より電話があり、代車ボルボ850ワゴンを駆って受け取りに行く。連休中だが、渋滞にも巻き込まれず到着。
まず、当方が要望していた項目は、下の通り。
●嶋電カミナリ交換(購入済み)
※嶋電アース、プラスチャージライン、嶋電マフラーアースはそのまま付けておいてもらう
●ATソレノイド交換(購入済み) 併せてキックダウンワイヤー調整
●プラグはプラチナプラグなので、まだ交換せず清掃のみ。ただしコーティングしてあるので清掃には注意すること
●エアフィルター(K&N)清掃
●ワイパーブレード交換(チャンピオン、購入済み)
この内、嶋電カミナリは、車検直前にダイレクトメールが入って、「嶋電カミナリU」を限定販売するというので、早速注文して、そちらに換えた。新品のまま余ってしまった従来のカミナリは、「どなたかお客さんに勧めてみてよ」と、オート・ボルタ社長に譲った。興味のおありの方はどうぞ。
そこで、今回の車検までの走行距離は147800キロ。前回、平成20年のときが118900キロだから、2年間でおよそ3万キロも走ったことになる。われながら、よく使っているものだ。
整備記録簿から抜粋すれば、
●左ロアボールジョイント 交換
●O/Dソレノイド 交換
●Fパッド・ローター 交換
●Rパッド・ローター 交換
●ブレーキオイル 交換
●タペット・カバー 交換
●Rカム・カバー 交換
●AL、PS、ACベルト 交換
●タイミングベルト 交換
●エンジンオイル(バルボリンMAX 10W-40) 交換
●アクセルワイヤー・ATワイヤー調整
●後は各部分締め付け、調整など
ということになる。ブレーキは重要保安部品だし、仕方ない。あとはベルト類がやはり参ってきていたようだ。とはいえ、やはり最初の購入時に徹底追求してあるので、これだけ傷が浅くて済んだのだと、改めて思う。さみだれ式にあちこち手がかかっていくその面倒さとコストは、以前の740で思い知っている。そして中古外車嫌いになってしまうのだ。オート・ボルタの社長とも話したのだが、やはりみな、旧車240には憧れつつも手が出ないらしいが、新車を買って3年、5年で買い換えていくならば、思い切って同じくらいの値段かそれ以下で、十分に手を入れてレストアした240を購入する方が、結局は維持費も安く上がるのではないか。どのみち何年か経てば、化石燃料車などまとめて過去のものになってしまうのだから。
それ以外には、4月7日水曜日に、タイヤとホイールを交換している。ホイールはコロナホイールから円盤型のアルミに、またタイヤはダンロップ・デジタイヤ・エコからミシュランEnergy
XM1 195/65 R15に履き替えた。この日はパソコンが壊れ、気持ちが落ち込んだままオート・ボルタに行って、それから社長とともに取引先のタイヤショップに行ったら、今度はそこの配電盤が落ちて停電になるなど、実に妙な日だった。なんでも自分のせいかのように思えたものだ。だが最後は社長がPCデポにまで付き合ってくれて、よいネットブックが見つかって気分も直ったのだった。社長にはあらためて感謝します。
まずは社長による試運転。中央道を飛ばしながら、懸案のオートマチックトランスミッションの切り替わりを何度も試す。ODへの入りの鈍さは以前の試運転のときに社長も経験したそうだし、またあいまいにアクセルペダルを放してスロットルを閉じたらストンと落ちたこともあったという。だが今回は、「キックダウンもするし、ODにも入っているし、いいようですよ」とのこと。「この二つ(ソレノイド+ワイヤー)だけでこんなになるのですねえ」と、感に堪えたように言っていた。
さてオート・ボルタを辞し、いよいよ自ら運転。そしてインプレッションはというと、EXCELLENTE ! これまでの整備の中で、最高だ。特に足回り。じつにかっちりと仕上がっている。おそらく左のロアボールジョイントの交換が最大の効果を発揮したのだと思う。それにミシュランタイヤの相乗効果だ。以前は低速で左にハンドルを切るときに「ゴロッ」ということがあったのだが、それがなくなっている。そして車輪がまったくばたつかない。路面を確実に捉えていく。
そうしてオートマが、見違えるようになった。きちんとキックダウンもするし、60キロから70キロの間で、ちゃんと4速にまで入っているのが確実に分かる。変速ショックも小さくなった。これもかっちりとした、いいフィールだ。社長も言うごとく、ソレノイド交換と(取り外した元のやつは被覆がぼろぼろになっていた)ワイヤー調整の成果だ。
だから当初から、ワイヤーを見てくださいねとしつこく言っていたのに、プロの人たちときたら、「こんなもんですよ」とか「個体差もあるしね」とかで経験上片付けてしまうのだ。そしてなまじ乗りこなしてしまうから、かえって判らなくなる。だから、たまには素人の訴えにも、耳を傾けるべきところがあるかもしれませんよ。
最後に、三鷹のスーパー・オートバックスに寄って、光消臭のXFIBERというものを買う。これもいつの間にか発売元がTOTOからCARMATEに変わっていて、時勢の移り変わりに驚く。
ともあれこれで、4年かかったが、私の理想とした走りと乗り心地に、限りなく近づいたようだ。確実に組み上がっているボルボ240がいかに優れた車であるか、ほんとうによく分かる結果となった。
車検後、三鷹のスーパー・オートバックスにて。
ホイール、ワイパーブレードに注目。 |
チャンピオンのワイパーブレードです。
まだ使っていないので、感触はわかりません。 |
嶋電アース、
プラスチャージライン、
そして新製品カミナリUを付けました。 |
写真のコントラストを少し飛ばしました。
矢印が、嶋電カミナリUです。 |
純正円盤型アルミホイールです。
社長が調達してくれました。 |
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ミシュランタイヤです。ビバンダムが鮮やかです。 |
2010年05月07日(金) ボルボ240、車検後インプレッション
車検後、まだ都心への往復とか、学校往復とか、それくらいしかしていないのではっきりとは言えないが、それでもわかるのは、これまでの整備の中で、最高の状態だということだ。
実は現在、嶋電カミナリUに加えて、シガーソケット装着型のカミナリも付けている。つまり、カミナリを二個ということだ。電気工学的にはまったくナンセンスだというコンデンサーチューンではあるが、鰯の頭も信心からといったところで、まずは勘弁していただきたい。
さて件のカミナリだが、これまでシガーソケットに付けていた「HotInazma」に比して、はるかにいいような「気がする」。これを装着以降、エンジン音がさらに低く滑らかで、回転に粘りと伸びがある。元来ボルボ240はパワーではなくトルクで走る車だ、とどこかのサイトで読んだことがあるが、まさにその通りで、しかもその特性、特徴、特点が際立つようになった。もともとカミナリの謳い文句もまさにそのあたりにあったはずで、これが私自身のアクセルワークにも、当然よい影響を及ぼしていると思われる。
またヨーロッパでは市街地制限時速は一般的に60キロだが、つまりそこまでの加速とそこでの巡航に最大のトルクがかかるように、とくに70年代くらいのテクノロジーの欧州車は設計調整されているわけで、だから赤信号からの加速では、わがオンマニ号は、ただ普通にアクセルを踏んでいるつもりでも、たいがいのクルマには、まず負けない。というよりも、他の車が、元来そんな風には作られていないのだ(もちろん、自分だけが特権的にぶっ飛ばせると思い込んでいるベンツやベンベ、それからまあレクサスなどといった「マッスル・カー」は別として)。
これにスムースになったオートマと、改善された足回りとが加わるわけだから、もう鬼に金棒だ。オート・ボルタとガレージには、感謝の意を表する以外にはない。
なお今日の帰り道は雨降りだったので、チャンピオンのワイパーブレードを初めて動作させたが、ビビリ音もなく、綺麗に拭き取ってくれる。これも交換成功といえよう。
もしも昔気質風に、車に何かを感じ取りたいならば、オート・ボルタで3桁ボルボ(240、740、940、960まで)を購入することを検討されるようお勧めする。
2010年06月19日(土) ボルボ240、15万キロ突破
ボルボ240オンマニ号は、今日で走行距離15万キロを突破した。
といっても、私が乗り始めたのは8万8千キロからだが、それでも4年間で6万キロ強走ったことになる。記録簿を見ても、一人のオーナーとしては、私が最も多い距離を乗っている。かなりにメンテナンスも加えたことを鑑れば、名実ともに私の愛用車であると言ってもいいだろう。もちろん、前の方たちが大切にしてくれていたお蔭であって、とくにエンジンはこれだけ快調なのだから、ありがたいことだ。
今日は朝早くから、家族で佐野のプレミアム・アウトレットまで往復してきた。行きは尾根幹線道路〜稲城大橋〜中央道〜首都高速C2〜東北道、帰りは北関東道〜関越道〜圏央道というルート。熊野町ジャンクション付近の渋滞を除けば、あとは快適なドライブだった。エンジン音は低く、十分すぎるほどのトルク感で、余力を残して走る。ミシュランのタイヤもOKで、直進性も、曲がるときの操舵性も良好だ。ステアリングに車輪が、気持ちよくついてくる。エアコンの効き具合もいい。
とにかく、20年前のクルマとしてまともに見かけるのは、だいたいボルボ240とスバル・レガシーくらいのものだ。ということは、レガシーがいかによくできた国産車であったかという証左だが、父がスバル1000f以来のスバリストであったので、私も実はレオーネ1600クーペ以来、レオーネとレガシーを乗り継いできたという経歴がある。
トヨタの軍門に下ってしまった今のレガシーは、あの「ジェット機からスバルまで」の個性を失ったようにどうしても思えてしまうが、それはともかく、20年前のボルボ240やレガシーは、もはや車格など超越した地位を獲得していて、その点でも走らせていて気持ちいい。
高速道路でオンマニ号に抜かれた車が、急に目が覚めたようにスピードを上げて再び追い越していくのもまた面白い。それはちょうど、「あんなポンコツに抜かれてたまるか」といった感じなのだ。
だが、いまだに生き残っているボルボ240は、たいていのクルマが素晴らしくチューニングを加えられているはずだ。それに比べれば、オンマニ号など、はるかにおとなしいものだろう。
2010年07月25日(日) ボルボ240、トリップメーターギヤ壊れる
7月9日、金曜日のこと。ボルボ240オンマニ号にガソリンを入れて、トリップメーターをリセットする。トリップメーターのギヤ欠けのトラブルのことはいつも頭にあり、走行中にノブを操作することは決してしない。だからこのときも発進前にノブを押し込み、メーターがくるりとゼロに戻ったのを確認して、安心して出発した。
だが虫の知らせか、どうも気になった。思えば、どうもガソリンの減りがいやに早いなと感じてもいた。それでトリップメーターに目を落とすと、0000のまま。「定番トラブル、ついにオンマニ号にも来たか」と思って、それでも何度かノブを押してみるが、もう動かない。のみならず、オドメーターの方も151213から151214の間で止まったきりだ。そして、メーターの内側から、小さく「カタッ、カタッ……」と引っかかるような音が規則的に聞こえてくる。
もうどうしようもないので、仕事が一段落したところでオート・ボルタに電話をかけると、社長は鼻声。「風邪を引きまして」と言う。どのみち部品調達やガレージ入りと代車の手配などで時間のかかることは予想がつくし、それにいずれにせよ、月曜日はオート・ボルタは定休日だ。「では火曜日にもう一度電話してから伺います。それまでに風邪をしっかり治して、お大事にしてください」と電話を切り、帰宅する。
日、月と都心往復の用事もあり、「結構使ったな…、幸い、ガス満タンにしたときに気づいたので、走行距離は燃料計で推測しよう」などと思いながら、オート・ボルタに電話。心配だった風邪は「もう大体大丈夫」とのことで、相変わらず不動の数字を睨みながら赴く。
オート・ボルタに着くと、社長が在庫の部品を持って待っていた。部品といっても、ご存知の通り、直径たかだか1pほどの白いプラスティックの歯車。これが経年劣化で硬化し、歯が折れて欠けてしまうと、一挙にアウトだ。
こんなちっぽけな部品の交換でも、ダッシュボードに手をつけてメーターを外したりしなければならないので、『ボルボ定番トラブル解決事典』にも書かれている通り、ガレージに入れると、工賃は福沢諭吉が何枚かかかるし、時間も取られる。それで社長は断然、「私がやりましょう。手間も廉く済ませます」と言う。「これまで何台もやったことがあるんですよ。ただそれこそ個体によってひとつひとつ微妙に違うので、動いてくれないときはまた考えましょう」とのことで、私はもちろん否やはない。外は軽い雨もよいでもあり、「オフィスでコーヒーでも飲んでいてください、私はメーターを外してきますから」と工具を持って出て行く。
手元にあった、ボルボトリビアのパンフレットなどを見ていると、すぐにメーター一式を外して戻ってくる。その間、5分もあったろうか。さすがに驚いて「手際が早いですね」と言うと、嬉しげに「手先は器用なんですよ。子どものころからプラモデルも大好きで、今もビンテージの戦闘機キットなど、そのままに持ってます」と答えつつ、早速交換に取り掛かる。そういえば社長は、川釣りのルアー作りが得意なのだ。
処置中に医者に口出ししてはならない、という警句がスティーブン・キングだかトム・クランシーだかの小説にあったので、それを拳拳服膺して、黙って見守る。手を動かしながら、「このメーターは、一度も取り外して修理した形跡はないですね、そういうやつはどんなにうまく取り付けてあっても、だいたい匂いで分かるんですよ」と社長が言う。つまり、オンマニ号のオドメーターの積算距離表示は信頼できるということだ。むしろ私のときにちょっと少なくなるわけで、やむをえないことであるとは言いながら申し訳ない。
そうこうするうちに、「やっぱり欠けてました」と古い歯車を取り出した。たしかに歯が2つほど折れている。新品と比較すると、色も褐色にくすんでいる。
後は真新しい白い歯車を取り付け、「メーターのケースも洗って乾かしましょう」と清掃してくれて、組み付けも終了。
「さあ動いてくれるかな」というわけで、私を助手席に乗せて、試運転に繰り出す。
走っていくと、「ああ、動いてますね」と社長が言って、ほっと一安心。トリップメーターもオドメーターも、無事に回っている。だが念のために10の桁が繰り上がるかを見ようと、東八道路を少しドライブ。小さい頃から分解坊主で、おもちゃは買ってもらったそばからバラバラ(打ち明ければ私もまったく同様)、あげくのはては祖父の形見の柱時計まで分解し、それはさすがに復元できなくて大目玉を食った話など聞いているうちに、10の位も無事に動き、あらためてトリップメーターをリセットしてから確認すると、これもまたうまく回転する。
こうして、1週間の覚悟をしていたものがオート・ボルタの3時間で済み、社長には大いに感謝する。作業をしているうちに風邪気も完全に吹き飛んだようで、それもよかった。
結局、燃料計の針の振れ方から見て、オドメーター不動の間の走行距離は、おそらく250キロというところ。さらに推測するに、ガスの減りがいやに早いと感じていたということは、じつはトリップメーターもオドメーターも、7月9日の給油前のどこかの時点ですでにアウトになっていて、給油のときのリセットは単に空回りをして戻っただけだったとも考えられる。そこでその鯖を読んで、およそ300キロという距離を、今後は積算距離にプラスして考えるということを、ここにメモしておく。
なお今日現在、何事もなく快調。この酷暑にも負けず、冷房も効かせながら、オンマニ号はよく走っている。
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外したメーターと、その基盤です。
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基盤の裏側です。右の青い箱には、外した古い歯車が乗っています。
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左、水温計。右、燃料計。珍しいので撮りました。
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トリップメーターのリセットノブ(矢印)。
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WAKO'Sのフッソオイルで動きを滑らかにしました。
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番外篇:免許証の更新
新宿都庁地下で、免許証を更新した。新式のIC内蔵のものになったらしい。だがその結果、本籍その他の個人情報データを見たい場合には、暗証番号を二種類も打ち込まねば出てこないし、その端末機もなんだか不体裁な特注風のものだ(昔の「児童会館」にあった怪しげな「キカイ」にさも似たり、と言えば、おおよその想像がつくだろう)。そもそも暗証番号を考えて設定するだけでも大手間だし、それを覚えておけというのも酷な話だ。まさにお役所のおためごかし仕事の典型だ。官僚の考えることというのは、だいたいこうしたものだ。間違いなくこんなところにも、警察庁だかの予算が大いに投ぜられているに決まっている。どうせ仕分けをするなら、このあたりの利権構造にも切り込めばいいではないか。ところがここには、おそらくぜったいに手を付けられないのだ。
それで一方では、昔からの代書屋さんたちは、これも間違いないことと思うが、気の毒に、みな仕事を失う羽目となっているのだ。
私が若いころ、免許の更新ごとにずっとお世話になっていたのは、鮫洲試験場の側にあった、とある事務所である。元ネイビーだったらしく、待合室には、自分の乗っていたフネの写真が、何枚も飾ってあった。そんな頃からもう健康にいい水を使っていて、私のように真夏に切り替えの時期が来る人間には、書類作成を待つ間の、その冷たい水の一杯がありがたかった。更新前には忘れずに通知の葉書も寄こしてくれたし、懐かしい、いい記憶ばかりが残っている。
古きよき時代の暑い夏、立会川付近の思い出として記しておく。
2010年10月07日(木) ボルボ240、オイル交換
ボルボ240オンマニ号のエンジンオイル交換をした。積算距離15万5千キロ強。オイルはいつもどおり、バルボリンMaxlife10w-40。オイルエレメントはボッシュ。これも変わらず。ただし今回は、これまでずっと続けてきたし、だいぶん綺麗になっているでしょうということで、諸ケミカル投入は無し。まあ、4月には早くも12箇月点検も待っているし、そのときと考えている。
先月初めには、法事や墓参で、淡路島や高野山へ酷暑猛暑の中往復をしてきたが、冷房全開にもかかわらず、オーバーヒートも、エンジンストールも、トラブルは何一つなく、リッター10〜11キロの燃費で、元気一杯走ってくれた。新名神高速道というのはすごい道で、じつに快適だった。民営化以後の諸SAの設備の充実ぶりというのにも、目を見張る。そのかわり、レストランは24時間営業ではなくなり、あの豚汁定食的雰囲気の面影はなくなった。まああれはあれで、懐かしいものではあった。
考えてみると、私がボルボ240オンマニ号に乗り始めてからでも、ほぼ4年半が経つ。オート・ボルタ社長も言っていたが、店にこれだけボルボが並んでいて、「240は3台ですよ」というような状態で、しだいによい個体も少なくなりつつある。そうとう手を入れておいても、どうしてもトラブルが出やすくなる。オンマニ号は、そうした中にあって、非常によいものだったのだと、改めて感謝する。
そんな現況であってもなお乗っていたいというオーナーの車が、整備を待って、オート・ボルタに置いてあった。いったん運転してみればそれだけのものを、ボルボ240はたしかに持っているということだろう。これは私の実感でもある。比肩すべきクルマが、まるでないのだ。
とはいえ、自動車というものに対する考え方や観念が、まるきり、そして急激に変わってしまったご時勢だから、今後はどうなることだろうか。
超高級車とエコ一般車の差は開くばかり、そして軽はそれとはぜんぜん違う意味合いを持っているし、ファミリーはバスみたいなRVを、もっぱら選ぶ。
それにもう何年もしないうちに、インフラ整備も含めた爆発的イノベーションが起こって、かつてCDがレコードにあっという間に取って代わったごとくに、電気自動車の時代が来てしまうだろう。
2010年10月11日(月) ボルボ240、夜の椿事
夜、ボルボ240オンマニ号で帰宅途中のこと。
コンビニに寄って買い物を済ませ、さてエンジンをかけようとすると、うんともすんとも言わない。ラジオや警告灯は点くので、バッテリーではない。給油直後だったので、さては燃料ポンプか、セルモーターか? JAFと言ってもこの年式のボルボは手に負えないかもしれない、まずはオート・ボルタに電話、と思って社長にかける。
とっくに閉店の時間だが、すぐ電話に出てくれて、症状を聞くと、「まずシフトレバーを一番下まで(つまり1速まで)降ろして、そしてまたPまで戻してください」と言われる。電源は入っているので、ブレーキペダルを踏んだらギヤは動き、指示通りにできた。「それでセルを廻してください」「廻します」とキーをひねると、見事にエンジンがかかる。
狐に抓まれた気分で「どうなったんですか」と問うと、社長曰く「普通、そんな風にセルモータが頓死することは、まずないんです。一番考えられるのは、車を止めた際にギヤがPレンジの位置に十分に入りきらず、それで接触不良を起こしたというケースです」と、事もなげに、見事に説き明かしてくれた。要するに、こちらのポカ、不注意だった。以後気をつけなければ。
「いやありがとうございました、まるで神様に会ったみたいです」と、これはお世辞でもなんでもなく、本当の気持ちだった。「困ったときは何時でも結構ですからね」と明るい声で言うオート・ボルタ社長に心から礼を言って、それから後は、無事に帰宅。何かの大難を小難に切り抜けたかもしれない。
2010年12月28日(月) ボルボ240、年の納め
ボルボ240オンマニ号は、今年もよく走ってくれた。週に一度は、都心へも往復した。長距離走行の機会はほとんどなかったが、9月初旬には、前記のごとく、淡路島・高野山・そして奈良への、前後一週間に亘る大旅行をこなした。行きは徹夜で淡路まで直行、帰りは恵那峡、諏訪にそれぞれ一泊して帰って来た。奈良を走っていたときは、ちょうど最高気温を記録したときだった(尤もこれは後日、百葉箱の不備で不確実な記録となったが)。家族連れ、冷房全開、カーゴルームは満載だったが、びくともしなかった。
どこへ行き、どんなところに泊まろうと、ちっとも肩身が狭くなく、あらゆる場面に似合ってしまうというのが、この車のいちばんの取り柄だ。それになによりかにより、まったく貧乏たらしくならないところが最高だ。
本年のメインイベントとしては、車検があった。それから、積算走行距離が15万キロを突破した。一度、片方のブレーキランプが切れたことがあったが、これは深大寺の2ndMotorsに駆け込んで(ちょうど月曜日でオート・ボルタは休みだった)事なきを得た。エンジンは快調で、電気系も異常ない。
155555キロの表示。もちろん、停車してから撮影しています。
やや気がかりなのは、燃費が落ち気味なことだ。リッター8キロを切ることが多くなった。冬ということもあるかもしれないし、長距離ではなく、通勤や買い物で近距離を走ることも多く、都心往復といっても中央道も首都高も渋滞するし、さまざまな要因が複合しているのだろう。だがもう一つは、ケミカル投入の機会を減らして定期点検のみにしたことにあるのではないか、とも思っている。やはりこれまで同様、オイル交換ごとに行なったほうがいいのかもしれない。いずれ4月になったら様子を見よう。
12月末現在で、積算走行距離は15万8千キロ。
2010年12月28日、地元のGSに給油と洗車に入ったボルボ240オンマニ号
洗車後の勇姿
これにてこのページを閉じ、来年からは新しいページに改めます。
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