再征服時代のスペイン騎士

Spanish Knight and Valet, North Area of Iberian Peninsular,
circa 11th Century

 

●イベリア半島に最初のレコンキスタ(国土再征服)運動が起こったのは、早くも718年、西ゴート王国の遺臣であるペラーヨによってだそうです。時は711年の西ゴート王国滅亡直後であり、いまだイスラームのサラセン軍がイベリア半島全土を制圧してもいない時代ですから、「再征服」とはずいぶん大げさな物言いです。現実にはこれは、少数の武装勢力による抵抗運動に過ぎなかったと見なす立場もあるようです。
 
●それはともかく、キリスト教徒によるレコンキスタは10世紀から盛んになり、それぞれの地方勢力をしだいに糾合しながら、ついに1492年、スペイン王国が北アフリカ出身のベルベル人の王朝であるナスル朝グラナダ王国を滅ぼすことで完成したのでした。
 
●この若い騎士は、11世紀頃の姿をしているという想定です。ズボン型の鎖帷子や剣、それに楯など、全体にひどくノルマン風の武装をしています。おそらくイギリスやフランスとの交易があったのでしょう。実際にはスペインの楯はこのような西洋凧型よりももっと小型で、剣もトレド風のきらびやかな装飾のついた細身のものだったでしょう。
 
●傍らの従者は所領の農民出身の郎党で、兜はアラブ風のシュパンゲンヘルムを被り、スペイン特産の牛革をなめした上着とブーツを身に着けています。今でも観光旅行に行くと、すぐに革製品の店に連れて行かれたりしますね。
 
ずいぶん以前(四半世紀たつ?)に描いた原画をスキャナーで取り込み、Corel Painter Essentials 3で修正・彩色し、さらにAdobe Photoshop Elements 4.0で調整・合成しました。