ミトラス神

 

 

 ミトラス神は、アーリア人の神格です。光明、誓約などを司り、のちには救世主、牧場主などとも呼ばれました。ローマ帝国に伝わり、ミトラス教の本尊として尊崇されました。キリスト教はこのミトラス教を覆う形で広まりました。だから、イエス像にはミトラス神の性質が、相当投影されています。クリスマスも、元来は光明神であるミトラス神の復活の冬至祭儀です。
 シルクロードを伝わって東へやってくると、ミトラス神は仏教に取り込まれて、未来仏マイトレーヤ、つまり弥勒菩薩となります。弥勒も救世主であり、「マイトレーヤ」とは「誠実な友人」の意味ですから、まさにミトラス神の性質が生きています。
 そう考えると、大乗仏教とカトリック教は、ミトラス神を介して、東西の兄弟宗教とも言えるかもしれません。
 ミトラス宗教はユーラシア大陸全域に広まり、その展開は土着宗教と混合しながら多岐に亙って、とうてい論じきれるものではありません。現在でもその信仰は、なお滅びていないようです。
 この絵のミトラス神は、ローマに伝わった姿で、ペルシア服を着て、フリギア帽をかぶり、牡牛を犠牲に捧げています。

ボールペン画
ペインター5で彩色、Adobe PhotoDeluxe で調整