アルカディアの近藤勇

 

 鶴川街道、三沢川沿いを歩く近藤の姿です。小野路の小島家へ出稽古に向う途中でしょうか、それとも日野の下佐藤家へと戻る途中でしょうか。丹沢か秩父の奥山も見えているようです。

 このあたりの風景はきぬのみちの通勤路なので、イメージには親しいものがあります。現在では道も広がり、山の上には多摩ニュータウンのマンション群が聳えていますが、それでも沿道にはかつて近藤が逗留したのではないかと思われるような古い農家の屋敷も今なお残り、お寺も鎮守の社もそのままです。

 動乱の時代の波はようやく多摩にも打ち寄せ始めていますが、浪士組参加などといった遠い先のことは思いも寄らぬ若き近藤青年にとって、この地はいまだアルカディアであったことでしょう。

ボールペン描きにペインターで彩色、
Adobe PhotoDeluxe で加工。