散文詩・ソビエト最後の日

 
 ソ連最後の最高会議のテレビ中継を見た。

 会議はこう言って閉会していた、

 「我々は友人として別れようではないか」。

 荘重で、格調高く、また相応に悲壮でもあった。

 ところがそこに、閉会直後のアナウンスがはいったのだ、

 「○○さん、証明書を取りに来てください」。

 それはあまりにも日常的で、ひどく滑稽に響いた。

 壮大な帝国の終焉が、トラジコメディになった瞬間だった。

 いったい何の証明書が必要なのだ、国家が滅びるのに。

 滅びた帝国の証明書。