1970年代、日比谷公園で火炎瓶がとびかっていた1971年、国際反戦デーの思い出を詩にしたものです。
20余年まえに、日比谷公園内の松本楼でカレーとワインをのんで、浮かんだ作品です。

 

17の晩秋 ― 日比谷へ ―  

ピキけんじ

 

丸の内のビル群をぬけ
 
歩道橋をこえるとそこは深い森だった
 
紅い夕空が黄昏がれはじめていた頃
 
僕は17だった
 
自由への長い旅はそこからはじまった
 
 歩道橋をこえるとそこは深い森だった
 
遠くサイゴンにつながる森だった

 

その後もホーチミンには会えなかったが
 
僕は素敵な大人になれたのだろうか

 

歩道橋をこえるとそこは深い森だった
 
自由につながる森だった
 
丸の内のビル群は長いこうべをたれて
 
ふたたび暗闇につつもうとしている